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ars combinatoriaな日々

ザ・ビューティフル@三菱一号館美術館

5/6までなので上げときます。


♪いろいろダメ人間なので,せっかく見たのにほったらかしでして。いやしごとも忙しいんですけど。

 

 ラファエル前派展のより先に会期の長いザ・ビューティフル@三菱一号館美術館(〜5/6)から。まずCafé1894でコラボランチを頂きました。いつも並びますが14時までに来店すればテーブルに付けなくてもランチメニュー利用可とのこと。
 緑のスープのあとは真っ赤なビーツソースが美しい…。デザートはオプションで。濃厚チョコでした。うつわもカワイイです。[真鯛と帆立,季節のお野菜のハーブスープ仕立て&鳥もも肉のスパイス煮込み、真っ赤なビーツのソース]

 実はめずらしく開幕早々2/1(土)に行ったので頭のあたりは混んでましたが,だんだんバラけて見やすく。びっくりしたのはついに床が絨毯になってたこと。趣きは多少削がれますがあの靴音は美術館にあるまじき煩さだったから仕方ないですね。

 ←図録もちょっとデカダンなデザイン。こんな拘りからも絵画はもちろん家具などが様々な面から唯美主義を巡る展示だったことが思い出されます。

 [1章 芸術のための芸術−新たな美の探究]まず絵画で目を奪われたのはレイトンの『パヴォニア』。豪奢な孔雀の羽,暗い瞳がファム・ファタールらしいのですが,太い眉が意志的で男性的にも見える一面的ではない女性像です。
 続いてロセッティの詩集の黒地に金を施したブックデザインやティーポットなど,ジャポニズムやシノワズリを直球で取り入れているのがむしろ微笑ましい。
 [古代文化という理想]古代ギリシャへの憧れもまた異国趣味的。ローレンス・アルマ=タデマの「肘掛け椅子」はライオンのような足に繋がるのが鳥の頭だったり,様々な素材の結集がキマイラのようでした。
 とにかく家具の展示が多く,ゴドウィンのサイド・テーブルと共にビアズリーの『サロメの化粧』がかかっており,確かにこのシンプルなテーブルは!サロメという聖書の物語はそもそもヨーロッパが舞台ではありませんからこれもまた正しくエキゾチックな意匠です。

[2章 唯美主義の流行]バーン=ジョーンズデザインの「青い鳥」のブローチ。宝飾品って初めて見たかなあ? トルコ石,珊瑚・ルビーのボディもさることながら,七宝の緑の葉がハートをかたどっているのが愛らしい。
 更になんと「室内履きのデザイン画」までありバーン=ジョーンズにはたまりません。
 そして,暖炉パネル・棚上装飾・時計・椅子等々を組み合わせて置かれていた1室がとても印象的でした。トマス・ジェキルを中心に様々なデザイナーの工芸品ですが,金使いや幾何学的であったりちょっと分離派ぽいです。19世紀後半とはいえアールヌーヴォーの流麗さとは全く違う。

 [3章 世紀末美術に向かって]風刺画の数々が並んでいるのもこの展覧会の面白いところ。古き良き時代…とうらやんでみても,当時の空気としてはやはり異端だったのかなあ。
 最後にようやくポスターになっているアルバート・ムーアの『真夏』。鮮やかなオレンジ色や夢見る表情にもうっとりだけど,ここまでに見て来た家具のせいか,精美な椅子の意匠に注目してしまいました。

 と一通り自分の目で見て,もう一度頭から監修者スティーブン・キャロウェイ氏の音声ガイドを聞きながら回ると改めて展示物の有機的繋がりがわかります。そんなわけで最近は後でガイドを借りるパターンが多いのです。

ラファエル前派展@森アーツセンターギャラリー


 ようやく3/21にラファエル前派展@森アーツセンターギャラリー(〜4/6)へ。

 テート展,作家展でなく「ラファエル前派展」です。ラファエル前派という言葉を知ったのはバーン=ジョーンズの展覧会だったのですが,実はバーン=ジョーンズは後期というか第二世代にあたるのでした。

 ミレイの『オフィーリア』を初めて見たのは都美術館のテート展だったのですが,あのときは『オフィーリア』目当てだったのにロセッティの『プロセルピナ』に心奪われてしまいました。『オフィーリア』はその後ミレイ展でも見たのですがそのときミレイはラファエル前派を離れてからの活躍を知ったので,今回目玉ともいえる『オフィーリア』が頭の方に展示されているのはもっともですね。
 といっても完全に年代順に並んでいるわけではなく,ミレイの作品は後半に『安息の谷間「疲れし者の安らぎの場」』があって,墓を掘るのと祈るという二人の尼僧が唯美ぽいのですが,でもマルタとマリアみたいにも見えます。マルタが働かなければマリアだって…と思ってこの話は好きではないのだ。ってのは別にしてこの祈る尼僧が何故かこちらに鋭い視線を送る居心地の悪さが実はとても印象に残っていたりします。

 

 ポストカードはロセッティとミレイを。
 左下のミレイの『両親の家のキリスト』は聖家族が卑俗であると批判されたそうですが,人間のもとに生まれた神の子たるイエスがこの場に不似合いな美少年で本来はこうなんじゃないの?と思ってしまいますが。それは上のロセッティの『見よ,我は主のはしためなり(受胎告知)』も同じで,神格化されないマリアがとてもリアルな解釈だと思うのです。

 今回特に興味深かったのはオフィーリアのモデル,ロセッティの妻・モデルとして有名なリジー(エリザベス・シダル)の絵画二点が展示されていたこと。無教養で美しい女性をモデルに描いた男性集団というイメージだったのですが,リジーは短い生涯で終らなければもっとこの才能を花開くことが出来たのかもしれません。

 バーン=ジョーンズもまた本当に美しいながらもどこか空虚な女性像に感じることも多々あるのですが,妻ジョージアナをモデルにした貞淑なクララとファニー・コンフォースの魔女シドニアでは明らかにシドニアの方が魅力的。そうか彼はやっぱりマリア・ザンバコに惹かれてしまうだもの。この二点は個別のように距離があったけど,対として並べて見たかったなあ。

 ハイライトはロセッティルームというべき彼の魅力的な女性像。その中でも『ベアタ・ベアトリクス』(リジー)と『プロセルピナ』(ジェイン)を並べられると,ああっどちらもいいっと行ったり来たり。なんとなく『ベアタ・ベアトリクス』の前に留まる人の方が多いような。『プロセルピナ』はもちろん大好きなのですが,『ベアタ・ベアトリクス』はやはりダンテの名を冠したロセッティにとってのベアトリーチェ,そしてリジー自身への贖罪の念,既にこの世のものではない昇華された永遠の女性ですもの。

 最後に次の世代的にバーン=ジョーンズの『愛に導かれる巡礼』。この作品のチョイスも象徴的です。といいつつ,やっぱり“愛”より巡礼の方が美しく色っぽいよ。

東京国立博物館


♪すっかりこちらがお留守になってしまいました。ザ・ビューティフル@三菱一号館美術館(〜5/6)とラファエル前派展@森アーツセンターギャラリー(〜4/6)に行ったのをまとめようと思ってるのですが〜。

 

 トーハクことト東京国立博物館のパスポートを初めて購入しました!すっかりトーハク通いなのでようやく値上がり前に。ただいま庭園開放中です(3/18〜4/13)。右は応挙館の障壁画をチラ見。庭園初めてですが茶室がいっぱいありました。とても良いお天気でしたが(行ったのは3/15),特別展をやっていないのでのんびりした雰囲気をぶらぶら。桜が咲いたらまた来たいけどきっと混むだろうなあ。

 本館に入って,2階の高円宮さま根付コレクション。わあチェシャ猫みたい!と思ったらまんまでした。琥珀と象牙製。

 2階3室「宮廷の美術―平安~室町」 大河清盛クラスタ的ときめきがいっぱいでした。。冷泉為恭模「伝重盛像」(模本)。他に撮影不可だけど重文のごっしーや有名な崇徳・後白河・二条の三像(模本)など。3/23まででした。

 こちらも3/23まででしたが,1階14室「おひなさまと雛の世界」。雛人形もお道具も大好きですが「束帯雛形・直衣雛形」に注目してしまうのです。

 やっと!東洋館へ,庭園に行った分こちらには時間がかけられませんでした。
 ガンダーラ仏は彫りが深く濃いイイ男。が腹は出ている(弥勒菩薩らしい)。4/13まで。こちらは全部見れなかったので今度こそ上から下までゆっくり見たいです。本当に見やすいガラスでしたよ〜。

平等院鳳凰堂平成修理完成記念 天上の舞 飛天の美@サントリー美術館

 
サントリー美術館の天上の舞 飛天の美はまもなく会期終了,1/13までです。10・11・12日は20時まで開館。年配の方が多そうな展示は遅い時間の方が比較的観やすいと思います。

 光背や薬師寺東塔水煙(模造)を離して鑑賞するので,ディテールを集中して見ることができました。それでも単に綺麗というよりも,その細部にも込められた信仰が届いたように感じます。また大きな水煙の大きな影,そしてそれが自分に重なるというのが面白い。

 金色の国宝「阿弥陀如来坐像光背飛天」は本来こんな近くでまじまでと見るものではないのでしょう。浅い彫りで細密ではないのですが,それが却ってとても穏やかな表情に見えました。

 “結縁”は大変センチメンタルな体験でした。1/3の夜(19時半頃かな),館内も空いており並びもなかったのでゆっくり好きなだけ触れました。最後に手を置いて目を閉じると暖かいものが自分に入って来るようでした。(いや暖かいのは木だからですけど〜。
 雲中供養菩薩像の模刻像で,鳳凰堂落慶供養後に堂内に奉納されるそうです。

 国宝「雲中供養菩薩像」は雲が花のようだなあとか,衣が雲に変化してるんじゃないかなんて1点1点ディテールに注目してしまいました。また横向きの顔を正面から見ることが出来るのもこういう展示ならではですね。

 最後の方に展示された兵庫・国分寺の「雲中供養菩薩像」。両腕欠損して雲もほとんど残ってないのですが,微笑を感じる伏せがちな目に歌うような唇,立膝だから楽器かなあ。先に見てたら欠けた先にまで想いは馳せなかったかも。
 一番印象に残ったのが平等院ではなく参考出品だったとわ。昨年の仏頭といい欠けているもの不完全なものにとてもヨワイようですね〜。

 グッズは平等院のもの。数字が入ってるのはエコバッグ!鳳凰堂の公開が待ち遠しいです。

 終了前になんとか上げたかったのでTwitterのままどこか断片的でおススメの熱意が伝わらなくてすみません〜。鳳凰堂に収まったらこんなふうには見えませんのでとても貴重な機会だと思います。

あけましておめでとうございます。


♪今年もよろしくお願い申し上げます。

 2013年5月に京都国立博物館で狩野山雪『天神飛梅図』を見たあと,7月に太宰府天満宮で「飛梅」に会えました!〜干支をあきらめてすっかり旅行ネタになってます。

♪2013年のベストにスケート観戦を付け足しました。
 あと今年のチケット全然買ってないと思い込んでたけど2月にミュージカル『フル・モンティ』を取ってました。さっき残席僅少な新春浅草歌舞伎をあわてて取りました!『義賢最期』目当てです。演舞場の『景清』も気になります。相変わらず平安〜源平好き。

よいお年を!

♪これから帰省しまーす。
 1/5までのスヌーピー展の感想を入れようと思って時間切れです。参考:1020ついろぐ

♪Twitterのおかげで久しぶりにマイベストを考えました。あとでリンク張れたら…。

 美術・博物館。作品?が選べたのは:興福寺仏頭展「仏頭」,モローとルオー展モローの「油絵下絵」,ターナーの「カラービギニング」,「狩野山楽・山雪」山雪『雪汀水禽図屏風』,根津美『那智瀧図』。『那智瀧図』は同日のジーザス・クライスト・スーパースターと相まってトランスしてたのも大きい。ファインバーグコレの北斎『源頼政の鵺退治図』頼政は東博で刀も見たし。トーハクは企画展もだけど本館いい!東洋館も行かないと〜。「平清盛」繋がりで玉堂『小松内府図』も。
 他に作品がというか展覧会としてよかったのは栖鳳,アントニオ・ロペス,和様の書,大野麥風,御舟,ミュシャ2つ,モリス,エル・グレコ,ジャコメッリ,グルスキー,白隠。こ,これでも何とか削ってます…。

 舞台:「ロックオペラ・モーツァルト」5回(東京3,大阪衝動2),「ヴォイツェク」2,「シラノ」4(追加2)かなあ。次点でロミジュリ4(追加1)。4Starsはもう一回行きたかったなあ。番外で「ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー2012」は映画館だけど3回。
 いつの間にか日本語が多くなったけど,歌・音楽ものが好きだということがわかりました!耳に残るというか中毒性がある。ストレートプレイは「おのれナポレオン」「滝の白糸」「MIWA」「鉈切り丸」(MIWA以外は2回)とどれも面白くてこちらはセリフや掛け合いの妙かなあ。ミュージカルの方が情緒的?上記のベストはストプレも加味しての上です。
 バレエを結構衝動的に。ブベニチェク・ニューイヤーガラ,小林十市ハムレット・パレード,ニューヨークシティバレエ,新国ストラヴィンスキー(結婚目当てで火の鳥が付いてた!)。

【追記】スケート観戦を入れ忘れてました!4月:国別対抗戦一部日程,6月:アート・オン・アイス,7月:ファンタジー・オン・アイス福岡2公演,プリンス・アイス・ワールド東伏見2公演,フレンズ・オン・アイス2公演,関東選手権一部日程(シニア女子SP,シニア&ジュニア男子SP),東日本選手権一部日程(シニア女子FS,シニア男子FS),全日本選手権(試合のみ全演技)。
 印象深いのはやっぱり直近なのもあるけど全日本の美姫ちゃんあっこちゃんSP・FSその他いっぱい,東日本の美姫ちゃん火の鳥,町田くんは全日本のエデンと生じゃないけどGPFの火の鳥,初めて行ったブロック大会の唐川くん,那須野さん。ジュベール全部!(仏語をしゃべったよ!)

 来年のチケットはノープランなのです!スケートも含めて。

明治・大正・昭和戦前期の宮廷服 -洋装と装束-@文化学園服飾博物館

♪8日(日)にターナー展に行って,その後お休みがないので17日お昼休みに徒歩で往復しました文化学園服飾博物館の「明治・大正・昭和戦前期の宮廷服 -洋装と装束-」。1時間のうち移動時間約20分,どーしても見たかったのです。文化学園服飾博物館は久しぶりですが,前にも昼休みに行ったことがありました,いつだったかしら。
 12/21まで(学校だから?日曜祝日お休みなのです)。

 展示は2階の洋装から。ここでドレスは何度も見たのですが,これまでも見たようなスタイルであっても独特の文様に注目してしまいます。
 昭憲皇太后の御大礼服(マントー・ド・クール)はドレスにもトレーンにも大輪の菊が刺繍されています。同じく御通常服(ローブ・モンタント)は可愛らしい印象だけど白地に白糸で菊の刺繍。
 他に雪輪のトレーンや松葉のローブ・モンタントなど。ほとんど国産のものばかりですが,パラソルがひとつ,ニコライ二世戴冠のときにロシアで購入したものが展示されていました。

 またいつもは引き立て役のような男性の方は,ずらっと並んだ軍服がなんかすごい。意匠が桐や菊で官位や役職によって本当にいろいろで,でもその文様の入り方が軍服にしては随分派手というか美しく入っているのです。軍医のものもありましたので,鷗外はこういうのを着てたことがあるのかなあなんて想像してみたり。
 勲章は箱もセットで,漆に金の菊,桐,桜,文字(瑞宝章だったかな?)が入っているのです。が,箱だけは 図録になかったのです。あらーヘンなとこ注目してしまったのか。でも図録はこれだけで貴重な資料になりますね。
 また朝香宮ご夫妻の並びは庭園美術館の広間で想像してしまいました。休館はまだまだ続くのですねえ。

 装束は1階でスペースはだいぶ狭いのですが,こちらの方が更にワクワクだったかもしれません。2階も明治天皇の軍服で始まりましたが,こちらは直衣!本物の帝の本物の直衣!
 真ん中の展示された御下襲を長く引く真っ白な御祭服は大正天皇が着用。複製,再現ではなく,実際にやんごとないお方が実際に着用されたものが目の前にあるのですねええ。

 そして烏帽子はありませんでしたが,冠の上部がメッシュ!だったのを見逃しませんでしたよ。女性の方で面白いのは臣下の袿袴。立った状態で,袴と履(くつ)が見えます。

 すっかり平安末期好きになってるので,図録に「装束は中国から伝えられた服装が平安後期に日本独自の服装に変化」とあって,わー有職故実や服装史をちゃんと当たりたいなあと思ったのでした。

ターナー展 Turner from the Tate: the Making of a Master@東京都美術館

ターナー展東京都美術館素晴らしかったです! 休養日と決めて基本出掛けない日曜に行った甲斐がありました。休日出勤が続いてもう今日(12/8)しか空いてなくて,でもちょっといろいろ煮詰まってたのが充足しました!
 今年は(も)いい展覧会をたくさん見たのですけど,最近のでは「モローとルオー」に並んで評判よく,確かにこれは行かないとですよ!
 12/18まで(月曜休)。【巡回】2014/1/11〜4/6 神戸市立博物館

 

 ちょうど企画展の建物に青空が映り込んでました。ちなみに↑美術館に入る前の空。でもターナーよりフェルメールぽい色?と思ったら,そうかターナーはイギリスで、フェルメールが大陸だからかと何となく自己解決。


 順番が前後しますが,ポストカードを買ったお気に入りの作品(の一部)。左上から『月光,ミルバンクより眺めた習作』『バターミア湖,クロマックウォーターの一部,カンバーランド,にわか雨』『戦争,流刑地とカサ貝』『平和−水葬』。
 他に図録の表紙でもある『湖に沈む夕陽』『レグルス』を各2枚づつ買いました(1枚では出し惜しみして使えないから)。印刷では色彩のニュアンスが伝わらないんですけど,RGBになってバックライトが当たると意外に再現性が?やはり光の画家なのだなあ,フェルメールとはまた違った。お,繋がりました。

 さてターナー展,ターナーは素晴らしい!そして展覧会そのものがとてもイイ! 17時半までなので毎度の閉館まで粘ろうと16時頃行ったら入場制限はないけど中はやっぱり混んでまして,久しぶりにまずざっと通して合間合間に見れるのを点々と。いつから並んで順番に見る人が増えたのだらう?
 各章のキャプションに(ターナーの)年代があるのがわかりやすい。長命(76歳)な画家ならではですね。またターナーちょっといい話なミニエピソードが壁に貼ってあって,こぼれたミルクで絵をって雪舟か!とか,才能ある息子を誇るお父さんの話は理髪店主という階級社会ならではかも。でも更に図録を読むと妹が5歳で亡くなりそれが母の精神に影響を与えたって影を落とすエピソードもあるのですね。

 そんなわけで1点1点見るのはまたあとで,最初に目に付いたのは『バターミア湖,クロマックウォーターの一部,カンバーランド,にわか雨』。虹がくっきり七色でないところがいいなあ。と,自然を美化ではなくあるがままに描くのかな?とも思ったのですが,「III.戦時下の牧歌的風景」「V.英国における新たな平和」の前書きを読むと特に戦争/時代を反映し,しかしあくまで戦勝のムードに迎合しないなど意外にメッセージ性があったのか,見たものを見たまま綺麗にではないターナーの思想・思考が反映されていたのですね。

 またこの展覧会は116点の展示の中で習作が多くて,ただどれひとつとして見過ごせない全然物足りなくない見応えあり過ぎなのも特徴です。習作はとてもラフで,細部を描いておくのではなく大まかなアウトラインであり,ここからどんな本画が表出するのか想像出来るようです。ただ帆船や建造物,つまり人工的なものは細かったですね。スケッチブックの展示もありターナーの創作段階が想像出来てこれまた必見です。

 更に「IV.色彩と雰囲気をめぐる実験」の“カラービギニング(色彩の始まり)”と呼ばれる水彩。白いシルエットの城なんかはわかりやすいけど,もっともっと色彩だけで表したものがたくさん。むしろ色を置いてみましたってくらい?
 これらは遺贈コレクションから発見されたそうで,その経緯も含めてモローの“油絵下絵”を彷彿とさせてます。あっ印象派ギライなのにターナー大好きなのがわかったー(ファンの方には申し訳ないんですが…粕谷さんの海外サカヲタネタ)。印象派の先駆けではなく抽象画,象徴主義ぽいのです。ただモローと違って抽象的には見えない,もうちょっと具像的に描きたいものが浮き上がってくる。一枚の絵として鑑賞出来るけど習作ぽくもある。このコーナーは1820〜30年頃推定で,晩年の1840年代にももう一度展示されてました。そちらはもっとスケッチぽいですが,でも「こういう作品です!」とも見れる。そうそうカンディンスキーの『印象III (コンサート)』(1911)を思い出しました。

 一巡目は本当に点々としか見れてなかったので飛び飛びですが,次に注目したのは「VII.ヴェネツィア」の『サン・ベネデット教会,フジーナ港の方角を望む』。すごく明るい絵で,でも特にターナー独特の黄色がとても効いてる。白く輝くもいいけど,もっとぱあっと明るい。そして人物描かない方がいいんじゃないかと思ったらちょっと下がって見れる椅子があって,あっこれは離れて見た方が全然いい。戻ってちゃんと見れた代表作『レグルス』もでした。後期に行くほど人物がもわもわしてるんですが,ほとんど遠景なので離れて見ることに。
 最後の部屋はとても混雑していて,あきらめて地階に戻ったら入場締切時間過ぎていたのでようやく1点づつ見れました。この展覧会は年代順の構成なのですが,通して見てからだとターナーは初期からモチーフの選び方を始め視点が独特なのがよくわかりました。

 閉館時間になっても晩年の,特に『戦争,流刑地とカサ貝』『平和−水葬』のセットはいつまでも人だかりが絶えませんでしたので,離れて並んだ2作を同時鑑賞するのはできなかったのですが,これはどちらもいいですね〜。どちらかひとつなら『平和』ですが。『戦争』のナポレオンは流刑地すなわち「おのれナポレオン」!奥にいるのは監視の士官? イギリス人ですからナポレオンを勝ち誇った姿で描かないのは当たり前ですがターナーはイギリスの絵もちょっと斜めからの視線でした。
 『平和』の水葬というモチーフ,当時ならこういう絵は普通なのでしょうか? 蒸気船の黒が不自然と言われターナーは「もっと黒くできる絵具があればなおよかった」と応えたそうですが,やっぱりこれは自然ではなく印象ではなく象徴主義なんじゃあと思ったのでした。

 
 そんな2作を最後に見てでたら,なんとターナー天気予報がちょうど『平和−水葬』だったのですよ!よかった明日曇りで!
 そうそう企画展内ミュージアムショップでは結局図録とポストカードしか買わなくて,実はクリアファイル,ストラップに手を伸ばしたけど,縦長横長を逆にトリミングしてるのに気が付いて散財しないで済んだのでした。だってそれはダメ。

 【右】入るとき気が付かなかったんですが,いまって都美はこんなことしてたんですね! 次回予告で来年4月はバルテュスか!

 
 ランチは例によってレカン。お魚と白ワイン,しあわせ〜。美味しいものって大切!

モローとルオー@パナソニック 汐留ミュージアム

モローとルオー-聖なるものの継承と変容-@パナソニック 汐留ミュージアムは11/9(土)に参りました。12/10(火)まで,必見です!休館日は水曜ですのでご注意ください。
 これは“ギュスターヴ・モロー展”ではなく“モローとルオー”という展覧会です。ルオーギャラリーとパリのモロー美術館ふたつがあっての企画でした。

 まずロビーで「モロー とルオー その魂の絆」の映像(14分)を。そーいえば日曜美術館の放送をまだ見てませんでした。
 出展されているサムソン模写,これはルオーの作品(本画『石臼を回すサムソン』はロスから)を師であるモローが模写,それにルオーが喜ぶ書き込みをしていることが語られていました。なんだか貴重な一品に見てしまいましたが,展示を見るとそういった模写たくさんあるのです。

 入ってびっくりなのは,油彩は基本ガラスがないことでした。これはいずれもモロー美術館所蔵作品のようで,うれしい配慮ですね。モローの説いた「マチエール(マティエール)と内的ヴィジョンへの感覚を尊ぶこと,そして色彩についての想像力」の中でもマチエールはガラスがあるのとないのとでは全く伝わり方が違いますし,ガラスなしを見ておけばガラスの入った作品も想像の延長ができます。

 この美術館は比較的狭いのですが,「ギュスターヴ・モローのアトリエ」「裸体表現」「往復書簡」「マティエールと色彩」「幻想と夢」とセクションに分けてそれぞれのコンセプトで二人の作品と絆を示しています。しかし一通り見たあとだとそれぞれがとても有機的に繋がっていているのが感じられました。
 また「マティエールと色彩」では金具のガードや壁紙でモロー美術館を想起させるしつらい,同美術館の4K映像コーナーもありました。ああモロー美術館に行きたい!(現在休館中,休館でも『出現』は持ってこないのね〜)

 出展はモロー美術館,この汐留ミュージアムだけではなく,オルセー他海外また日本国内からも多数あり,ルオーの初期作品は初めて見ました。モローはどちらかというと油彩下絵や未完成が目を引き,抽象画のように感じます。
 モローの個別の作品では『ゴルゴダの丘のマグダラのマリア』で,既にイエスのいない十字架と母マリアではなくマグダラのマリアが描かれていること,またイエスのものだけでなく三本の十字架が立っていることに,ただ単にキリストへの信仰だけではなく,もっとわたしたちに近づけた罪とその購いを感じます。

 聖母マリアの方では2つの『ピエタ』を何度も行き来してしまいました。まず晩年の未完成の抽象画のようなピエタがあり,順路に沿った先に初期のリアルなピエタがあります。どちらも画一的ないわゆるピエタのポーズではないところに神格化され惰性ではない,しかし間違いなく神聖なものが伝わるような気がしました。
 そして未完成の作品により惹かれるのですが,絶筆的無念感がなくイエスの顔さえ判然としていないのに明確な意思を感じます。(向かって)右側の暗さに比し左側の空がとても明るいことが希望に繋がるのでしょうか。

 自分の好み的には『ヘラクレスとレルネのヒュドラ』のうつくしい肉体ときよきよしい顔のヘラクレス,小さな『聖セバスティアヌスと天使』なのですが,いつもの最後に目に焼き付ける作品を選んだら,とても抽象的な何が描かれているのかも判然としない油絵下絵(No.45)でした。

 って,モローのことばかりになってしまいました。ルオーの作品も相対して展示されているのですが,特にモロー『パルクと死の天使』,ルオー『我らがジャンヌ』の並びには二人の共通性と気質の違いが出ているように感じました。モローの方が内へと向い,ジャンヌが上を向いているからかもしれませんがルオーの方が明るいい。
 モローもルオーも個別に好きだったのですが,ようやく繋がったような気がします。なおルオーの分厚いマチエールは分厚いのですが,輪郭好きとしてはそもそもフチがありその黒い太いフチはステンドグラス職人のという前身もあったのですね。

 図録はまだ途中までしか読めてませんが,モロー→ルオーの一方的な上下関係ではない互いに影響しあい高め合う,しかしあくまで対等ではなくモローはルオーの才能を導きルオーは師を尊敬し慕っていたことが作品及び往復書簡(訳は図録に収録)で伝わりました。ちゃんと読んだあとで追記するかも〜。

【巡回】12/20〜2014/3/23松本市美術館。モロー美術館でも開催予定。

ウィリアム・モリス美しい暮らし@府中市美術館


 

♪日曜出掛けると疲れを持ち越すのでなるべく外出しないんですが,近場の府中市美術館へ。今日までの上海博物館中国絵画の至宝@東博はあきらめました。モリス展は12/1まで。

 15時前に着いて,とてもよいお天気に紅葉が映えるのでちょっとお散歩しちゃいました。が素晴らしい晩秋の日曜日,ガキが煩さ…もといご家族連れの多いのどかな公園の昼下がりにBGMはトリスタンとイゾルデ,そして安定のツイ廃でした。そうさおひとりさま万歳。
 でもでも右下のオブジェ向井良吉『7月(七夕)の樹』は晴れた公園に忽然と現れたようで素敵ですよお。しかしiPhoneで見ると綺麗なんだけど,う〜んデジカメ持ってけばよかった。


♪改めて,ウィリアム・モリス 美しい暮らし−ステンドグラス・壁紙・テキスタイル@府中市美術館です。展示数は少ないながら閉館までじっくり堪能しました。都内近郊のモリス展はかなーり見てるつもりですが,まだまだ見たことないのがあるのがすごい。

■Si je puis - IF I CAN もしわたしにできるならば ウィリアム・モリス,その生涯と芸術(1997)(文字化けした場合テキストエンコーディングはISO2022など)
■ウィリアム・モリス-ステンドグラス・テキスタイル・壁紙 デザイン@うらわ美術館(2010)
■ラファエル前派からウィリアム・モリスへ@横須賀美術館(2010)
■バーン=ジョーンズ展-装飾と象徴-@三菱一号館美術館(2010)

 空いてる10年ちょっとは旧Webサイトの日記部分で,書いたまま現在ローカルエリアに放置…。パナソニック汐留ミュージアムに行けなかったのが悔やまれる。

 今回の展示は“美しい暮らし”というテーマに沿って,タピストリーのような圧倒される巨大なものはないけど,レイアウトも工夫されていてモリスの世界に浸れました。
 一番最初に目に入るのは,ひなぎくタイルの暖炉。この展覧会の象徴的展示。ひなぎくが身近な植物であるだけでなく,それを色数少なくデザイン化したタイルを使用しているのが更に可愛らしさを加速してます。

 次にステンドグラス,写真フィルムでの展示。うらわ美術館でもたくさん見ました。タピストリーにしてどうしてももバーン=ジョーンズ原画に目が行ってしまいます。
 絵柄の好みを抜きにすると,オール・セインツ教会の上下を透明にして室内の明るさを保つ工夫(ジーザス・カレッジ・チャペルも白衣が目立ちます),セント・マーティン教会のやはり明るい部分の葉の文様が職人によるものというモリスの精神が伝わっていること。
 絵柄的には以前にも見たセント・ジョン・エヴァンジェリスト教会(預言者ヨハネですよ)の『アブサロムの窓』の美青年アブサロムの長い髪と綺麗な顔にちゃんと肉感的な肢体。ジーザス・カレッジ…の『天使団と聖人』。ああ現地に行って自然光を浴びたい〜。(図録は現地写真。キャプションにあったけど展示のないNo.7を探してしまったですよ!)

 次のコーナーでは壁紙とファブリックが並べられたのがいい。大好きな『柳』のシリーズ。色違いの壁紙,ファブリックの印刷も綺麗。
 壁紙で反物状態のものは未使用ってことなのかしら。いま刷ったようにあざやかな発色でした。ガラスなしで刷り色や質感を自分の目で見れたのがうれしい。

 ファブリックではなんといってもインディゴ抜染の『リー川』。明らかに染色の質が違う!離れてよし近づいてよしで,最後に目に焼き付けたのもこれ。その隣りに赤『ウィンドラッシュ川』もいい。藍と赤,はっインディゴとルージュか(ロックオペラ・モーツァルトって今年一番嵌りの舞台がありまして…)。ここでもインディゴの方がより好み。

 そういえば壁紙も単色の方が好き。自然をより抽象化して,デザイン性・装飾性に特化してるように見えるのとともに,多色刷りははみ出しや刷り色ごとのテイスト違和感がある。
 多色でも『りんご』『クレイ川』などは綺麗。後進のヘンリー・ダールの輪郭のない『セランダイン』,ウォルター・クレインの輪郭を薄い色にした『オレンジの樹』などは,はみ出し塗り残しなしで単色のようなマット感が好みです。

 ケルムスコット・プレスの美しい本は数点ですがこれも外せない。そーいえば,活字のこだわりと中味だけでなく理想のハードへの妄執と云ってよいほどの拘りは,そうだよスティーブ(ジョブズ)だよ!

 家具も椅子やランプなど初見のものばかりかも。『ロセッティの長椅子』は心地よさ,美しさを求めてデザインし作成したであろうけど,この3つの椅子を並べたようなデザインはメッセージ性を内包したモダンアートのよう。あっラファエル前派兄弟団?

 展示を見終わったあと「手乗りいちご泥棒」「インドの版木」の体験コーナーが楽しい! 無心にハサミを使ったりモリスの愛した手仕事ぽいかも。
 せっかくのコーナーがわかりにくいのと,声が展示スペースに響いてたのが気になりましたが。

 モリスの思想として清貧な生活と美しい暮らしは矛盾しないの? その美しい製品たちは余裕ある層にしか購入出来なくて,まあモリス自身も裕福な家庭出身で日銭を稼がなくても生きていけるひとだったから,余計に拝金主義的にならない豊さなんだろうなあとか改めて考えてたら,その矛盾を打破するための社会主義思想があると,図録の巻頭解説に簡潔にまとめられてましたよ(ロビーでちょっと休憩してながら図録もパラ見してました)。なので,ミュージアムショップで図録の他に『ウィリアム・モリスのマルクス主義』(大内秀明,平凡社新書)も買っちゃいました。

 15時過ぎから17時の閉館までずっといて,外はもうクライフェルト!帰りの「ちゅうバス」は閉館直後の17:13のはいっぱいで乗れなかったです(30分間隔)。タクシーあれば相乗りいけそうだったけど全然通らないし,歩くのにバス15分弱の道のりは遠いし土地勘がないのであきらめて待ってました。予想外に疲れてしまった。そういえば以前一度だけ来たのは確か夏にカミーユ・クローデルのときで,まだ明るかったので芸術劇場の方を抜けて東府中まで歩いたのでした。