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ars combinatoriaな日々

ロミオ&ジュリエット

 

♪ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」,赤坂ACTシアター7/23ソワレ。ダブルキャストは[ロミオ:城田優,ジュリエット:昆夏美,ティボルト:平方元基,マキューシオ:平方元基,死:中島周]。
 2階席でしたが,ここはだいぶ1階に被ってるので舞台は思ったより近くて全体がよく見えてなかなかよかったです。ACTは仮設のとき行って以来ですが,それがたまたまのリヨンオペラ座バレエ《ロメオとジュリエット》だったんですよねー。プレルジョカージュの演出で階層の違う二人という読み替えとしては単純ですが,ゴルチエの近未来の衣装が彩る視覚に訴える舞台でした。ティボルトがカッコよかったー(って実は結構役回りが違うのをすっかり忘れてます)。

 このミュージカルはフランス発ですが,なんといっても「Aimer」「世界の王」を始め,楽曲が素晴らしい。ロミジュリって,プロコフィエフのバレエ,チャイコ,ゼフィレッリ(ニーノ・ロータ)やバズ・ラーマンの映画音楽,バーンスタインのウェストサイドストーリー(WSS)…,本当にたくさんの上演形態があって(グノーのオペラは上演機会少ないけど),それぞれがこれだけ印象的な音楽を作ってるのに,また全く新しいメロディが出てくるんだ~と不思議なくらいです。観衆も創作者もそれだけ惹きつける普遍的なテーマなんだなあ。

 城田君目当てですが,正直ロミオのイメージではないなあとは思っておりました。金髪はダブルで共通だけど似合わない~。何よりジュリエットの昆さんがちっちゃいのでかがまなければいけないのもあるけど,他の人より飛びぬけて大きいので常に前かがみで若者らしさがないとゆーか。トートはふんぞり返ってる人外でよかったんでっ。いい意味で異形が似合ってた。
 でもでも演技や声はよかったと思うんですけど~。特に声は最初の方はカワイく作ってるなあと聴こえたけど,ちょっと甘い声質がせつなく,一生懸命なところがいっぱいいっぱいのロミオぽい。ジュリエットは決して下手ではないけど,全く演出が感じられないただそのまま若くて可愛いジュリエットを素で出せる人が立ってるだけみたい。そーすると“ロミオとジュリエット”というタイトルロールの相乗効果での哀しさが半減しちゃう。

 “死”は素晴らしかった! 常に二人というかロミオとヴェローナの町に付きまとう影。この回の中島さんはバレエダンサーなので,他のダンスとは全く違う空気をそこにいるだけで醸し出してる。彼がいるといないとでは全く舞台の印象が違ったことでしょー。

 両家の違いはふつーに色で分けられているんだけど,赤系とモノトーンならそれだけでいいのに,それぞれ豹柄とキリン柄を重ねてるのでぱっと見がすごくごちゃごちゃしてる。2階でもごちゃっとしてるので1階はさぞ…。どーしてもミュージカルの若者のダンスはガキっぽく見えてしまうんだけど,この衣装で余計何をいきがってるんだとしか見えない。
 主要キャラは別衣装で際立てるはずが何故かマキューシオの衣装は群舞と似たようでなんか目立たない。彼は大公の親戚で完全にモンタギュー側ではないので,そういう複雑さも伝わらない。その代わりベンヴォーリオが都合よく出張ってる。親友というには情を出す見せ場がないのに(浦井君はよかったよん)。

 二人を始めとする若者達よりもちゃんとソロのある大人たちの方が目立ってたような気がする。もともと芸達者が揃っていたので,歌も演技も上手い! 一番聴き応えがあったのは乳母(未来優希)のソロ。
 両家はキャピュレットの方に複雑な事情があって,キャピュレット夫人(涼風真世)が甥のティボルトと浮気してたり,ジュリエットはまた別の浮気の子とか,キャピュレット興は素敵にちゃらい(石川禅さん素敵よお)。

 ティボルトは夫人と関係しながらもジュリエットを一番愛してる。なかなか熱演。なのにジュリエットは全く無関心なのかティボルトが愛するロミオに殺されても葛藤がない。少女ジュリエットが愛する人を見つけ,でもその彼が自分を愛してくれる大切な従兄を殺してしまった。それでもロミオを選ぶという,単に恋を知っただけでない3日間の急成長があるからこそ,若者達の悲劇に涙するのではと思うのです。このへんはバレエよりもWSSが兄妹なのでより強調したアレンジですね。乳母→アニータも。
 それはロミオも同じで,彼の描写はもともとそんなに変わらないけど,マキューシオとの繋がりが薄いのと演出からとても衝動的にティボルトを殺したように見えない。マキューシオがロミオのせいもあって死んだというのがあって,その後確信的にティボルトに向かってる。バレエみたいにマキューシオが大丈夫だよ~といつものように踊って,突然こときれる,と衝動的にティボルトを殺してしまうみたいな方が感情の動きが自然なのに。
 そもそもこのシーンで既に若者達はロミオとジュリエットの関係を知ってるというトンデモ設定なので,そしたらこの争いの発端もロミオにあることになっちゃわないのかしら。そのへんの観客は知っているけど,彼らは知らないので進行してるのよね…という神の視点やたくさんのすれ違いがあったからこその短い期間の不幸な出来事が強引ながらも成り立ってたんじゃないかな~。

 携帯とかスマフォとか(ジュリエットはパパが18になるまで許さないので直接連絡は取れないのです…)中途半端な現代演出よりも皆の感情の変化や互いを想う気持ち,そのすれ違いが生む悲劇といった肝心なところが伝わらないということの方が非常に残念。キャストは皆さんとても頑張っていたしよかったのでますますもったいない。とにかく総じて面白い舞台でしたがいろいろもったいないなーという感想です。

 せっかくのダブルキャストなので見比べてみるとまたいろいろ見えて来たかもしれませんが,もー楽日に向けてチケットは当日立ち見しかないのでした。でもでも来年のフランスからの来日が今からすっごい楽しみ! バレエも久しぶりに観たいなあ。実は初生バレエが森下さんのジュリエットなのですよ。ふつーにマクミラン版が好きですが,オケが舞台に載ってるワシーリエフ版はロストロポーヴィチが亡くなってからやってないのでしょーか。あれは音楽だけでも雄弁なプロコを活かして最後は指揮者が全部持って行ってしまう感動的な演出なのですよ~。

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