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ars combinatoriaな日々

森と芸術@東京都庭園美術館

 

森と芸術@庭園美術館,7/3までですがぜひぜひ行ってみて欲しいのです。更に庭園美術館は11月から2年間も改修工事で休館になってしまいます。このあとのエルミタージュのガラス展,建物公開で目に焼き付けなければ!

 “森と芸術”,すっごく面白い企画です。巡回もしますが庭園美術館ならではの空間がたくさん。まずは中に入る前に左の間に「森のカメラ・オブスクラ」と題して東京大学総合研究博物館のモバイルミュージアムが! ちょっと澁澤さんの飾り棚の拡張版みたいですけど。もうこれでこの展覧会はちょっといやかなり違うぞ!というワクワク感が。

 中の展示は時間軸に沿ってるんですが,それがまた人間と森の関わりの変遷を辿ってるわけです。1階はあちこちに置かれたガレの動物の陶器がカワイイ。ガレの昆虫や植物モチーフのガラスは個人的にやりすぎ感があるんですが,この動物たちは愛嬌がある。
 でもその過剰ガレ作品もある「第4章 アール・ヌーヴォーと象徴の森」が一番好き。モローはエッチングの1点で,バーン=ジョーンズもリトグラフ数点(フラワーブック)ですが,この中に『いばら姫』の王子達に通じるモチーフがあったの。いばら姫→眠れる森ですね。他にも↑の看板やポスターになっているメインイメージのアンヌ公やドニの『聖母月』のようなキリスト教化されたメイポールのような土着信仰の変遷を感じたり,何よりこの部屋が大食堂なので,いつもは隠されることの多い壁の草花文様を見えるようになっていて,この美術館ならではの作品が調和する空間なのです。

 1階は他に最初のアダムとエヴァの楽園追放やシェイクスピアの真夏の夜の夢などなど。2階に上がるにも階段などの植物文様がいつもよりも眼に入ってきます。
 上がりきったホールのあった『鳥の足を持つテーブル』(オッペンハイム),金色で天板にも足跡がついていてシュールだけど愛らしい。シュールといえばもちろんマグリット。マグリットで森といえば『白紙委任状』なんだけどなーと思ったら,展示はなかったけど図録に掲載されてました。図録というか監修の巖谷國士さんの著作ですね。しかも平凡社刊。
 ひとつだけ残念なのが太郎さんのコーナーもちゃんとあるんですが,そこの表示や図録でもマルセル・モースが民族学じゃなくて民俗学になってしまってること! こないだ『贈与論』を読んだんですけど(←わっかりやすい人だ),今回の展覧会にもかなり影響がありそうで,果たして物々交換→貨幣や狩猟→農耕,縄文→弥生は人類の進歩なのだろうか…。そしてもっと長い期間をかけて準備してきたであろうはずなのに,図らずも今の自然と人間の関係を見直すときでは…という深いテーマになっているのです。

 大きい流れはともかく,もう一度細部に戻ってみると「第6章 メルヘンと絵本の森」ではもちろんドレの『赤ずきん』。この絵は『誰が「赤ずきん」を解放したのか』(金成陽一 大和書房)の表紙などメルヒェン研究本で必ず使われますねー。もちろん『鏡の国のアリス』の白騎士とかプーくまの森の地図などなど。他にアーサー・ラッカムの『ラインの黄金』やデュラックの『人魚姫』などは森とゆーか好きなの並べてるう?みたいな(みんな持ってるしっ)。あっカイ・ニールセンも好きだー! 知らなかったのはモンヴェル『ジャンヌ・ダルク』のすごく明るい清々しい絵柄。

 ボモルツォの怪物公園の素敵モノクロ写真(川田喜久治)がいっぱいで,図録の他に巖谷國士さんのイタリア庭園の本(コロナ・ブックス)も買っちゃったー。あとあと突っ込み的にはマン・レイの『黒と白』に“じつは黒と白の反転したネガ作品もあって”って,みんな知ってるからそれを並べてえとか。いえホント楽しい展示でした。こういうのを一人で見れると,ニコニコというかニヤニヤ怪しいヒトになってしまうよ。

 館内のショップは今3Fなんですが,ここで冒頭の「森のカメラ・オブスクラ」ポスターが売ってました!(\500)うわあ欲しいものわかってるう。これはすぐに部屋に貼りたいけどどうせなら額装したいですねえ。

 4/16~7/3,【巡回】7/19~8/28 福井県立美術館,9/3~10/23 札幌芸術の森美術館。福井では図録にだけ載ってたフクイリュウの骨格標本展示があるのかしら~。いやこないだ見たけど。

 そして庭園コーナー! 雨に濡れた緑がきれいでいっぱい撮ったのを絞れませんでしたっ。

 

 夾竹桃の濃いピンクの花。木に咲く花の香りってなんだか品が高くて好き。

 

 青いサルビアってどこで見てもそのきっぱりした蒼さに驚きます。右は向かい側の背の低い花壇。

 

 【左】森へ通じてそう…だけど,実は車の音ががんがん聞こえてます。
 【右】白い紫陽花?じゃなくて大手毬。

 

 彫刻も少し。【左】座る豹 by エドゥアール・サンド(スイス)。【右】住まい by オシップ・ザッキン(ロシア,パリ市から寄贈)。苔むした大木が守るかのようで“森のひと”“森の家族”ってカンジ。

 

 西洋庭園。こちらに紫陽花が。他はだいぶ咲いてしまって色も濃くなってました。

 

 合歓の花! 真っ白でこんなにいっぱい咲いてるの初めて見ました。右はミュージアムショップ・ポルティエ(ポワティエじゃないよっ)のアプローチ。キャンバスにアレンジいつもカワイイ。

 
 美術館を出ると正面にパンダ! こんなのあったっけ? 中華料理店らしいです。今度開いてるときに入ってみたーい! 道路のこちら側はまだ森なのに…。
 気になるといえばいつも通るこのヘア&ネイルショップ,植え込みがいつも素敵なのです。いつ通っても何か花が咲いてる。

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