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ars combinatoriaな日々

ベジャール《M》

モーリス・ベジャール《M》,東京バレエ団@東京文化会館,12/18(土)。  気になってたけど,なんとなく気が進まなかった《M》を小林十市さんの2日だけの復帰に乗せられて観ました。十市さんてなんてゆうか品があっていいんですよね。
 Mはもちろん三島由紀夫ですが,ベジャールのMであり,死(Mort)。解説によると更に作曲の黛,海(Mer),変容(Metamorphose),神話(Mytologie)でもあるそうですが。
 そしてその死を演じるが初演の十市さんで,なるべく予備知識をいれないようにしてたので知らなかったんですが,三島の人格を形成したともいえる祖母として少年を連れて登場します。少年は成長し…ではなく,3人の分身の青年となっても重要な場面を演じるのは彼です。そして常に“死”が寄り添っている。観念的なようでいて非常にわかりやすいです。弓道の弓を引いたら聖セバスチャンが現れるとか死の瞬間にそれまでの人生が走馬灯ように周り踊るとか,そこまでしなくてもという過剰さもありますが。そもそもベジャールって,そんなにむつかしいことをやらないような気がします。そして三島の作品も実にわかりやすい。難解なもの=崇高で素晴らしいことではないという典型というか。

 舞台は男性達が重要な役割を負ってますが,印象的だったのは最初と最後の女性ダンサー達の演じる海,そして録音の音楽の中唯一生演奏だった舞台上の女性ソリストピアノによる《トリスタンとイゾルデ》。これも三島が思考していたのが男性であっても女性的なものを否定しているわけではないという理解です。《トリスタンとイゾルデ》はもちろん映画『憂国』で三島自身が編集して使ったというのが大きいのですが(映画館で観ちゃったしー),録音のオーケストラはなくピアノというのが,この張りつめた音色ですごく耳に残ってます。
 女性ダンサーというと『禁色』のがもうひとつわかんないんですが,読んでからだいぶ経ってるので読み直そうか(でも2部はあんまり面白くないんですけどー),それよりまだ読んでないのがあるのでこの機会に埋めた方がいいのではと思いつつ,『仮面の告白』を読み直してます。あっ,わたしは『潮騒』もすごい好きなのー。
 今回M席って後出しで前の席がお得チケットが出たので思い切って行ったんですけど,そんなんで目の前に圧倒されたのもありますが(でもちょっと見切れたり,前の人の影になったりしますけど),やっぱりバレエは解説や映像で済ますんじゃなくて生で観るのが一番だなーと改めて思いました。いやバレエに限らないんですが,言語に頼らない身体表現って特に。
 あらすじを述べる必要なく表現出来るので,『豊穣の海』4作を見てみたかったなあ。衣装に無理がありますけど,バレエダンサーなら勲君もジン・ジャンもなんでも出来そう。そうそう,こないだ出た別冊太陽が面白かったですよー。

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