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ars combinatoriaな日々

バーン=ジョーンズ展-装飾と象徴-@三菱一号館美術館

 

バーン=ジョーンズ展-装飾と象徴-@三菱一号館美術館,14日(土)に行きました。まぎれなく日本の暑さでしたが,赤い壁がちょびっとレッドハウス気分。いやだいぶ違うし。
 大好きなバーン=ジョーンズですが個展としては日本初なんですね〜。初めて知ったのは今は亡き伊勢丹美術館で(古い人間なんで…),ここで何度も何度も絵の前に立った『ランスロットの夢』に久しぶりに会えるのが楽しみでした。

 土曜の午後にしてはさほど混んでなかったので(それはそれで残念というかもったいない),一点一点近寄ってじっくり見れました。ぶら美(ぶらぶら美術・博物館)のおかげでつい絵の端っこに目が! 分厚い評伝(『バーン=ジョーンズの芸術』)も読んでるから目新しいことは出てこないかと思ったけど, フェルメールのときもとても良かった修復家の岩井さんのお話,裏打ちのナゾ,除去出来ないニス,グワッシュの剥落止め…が面白く興味深かったのです。

 最初の章で釘付けになったのが『慈悲深き騎士』。技術的に初期の作品だけど,まだ祝福するキリストに気づかず祈りを捧げる騎士の固い表情がいい。

 今回連作が多いのがうれしいですね。一枚でその物語を語り切るのも面白いけど,この連作群は皆主人公始め登場人物が変化してゆく物語だから。『クピドとプシュケ』は油彩2点と水彩の習作。このお話は大好きなのです。プシュケの物語はそーいえば絵画とギリシャ神話のページを作りかけて放置しました(文字化けしたらテキストエンコーディングを変えてみてください。ISO2022-JPとか)。いや今は検索すればいくらでも詳しく出て来ますけど。

 ポスターなど見ると今回のメインは「ペルセウス」と「いばら姫」らしいんだけど,連作の展示じゃないのが残念。ペルセウスは未完成だったみたいで,展示された作品だけでも素晴らしいので,小さく参考にプリントされた他のも見てみたかったなあ。

 いばら姫の連作も眠る姫君は確かに美しいけど,倒れた騎士達(いばらの森に入る王子)のが素敵なんです。以前見たのはプエルトリコのポーンセ美術館所蔵の連作で,このときはポスターもあったのでラッキーだった!

 バーン=ジョーンズは男性の方が断然色っぽいと思うのです。着衣でも甲冑でも。いや女性が清らか過ぎるってことで…。
 でも『ピグマリオン』のガラテアは人間になっても生気がないし,命を与えたウェヌスも目に力がない。女性崇拝の一番奥にミソジニーがあるのではというのは意地悪過ぎるかしら。ラファエル前派“兄弟団”(Brotherhood)っていうくらいだし。

 他はやっぱりミケランジェロ的男性の肢体が魅力的過ぎる『運命の車輪』素晴らしい。それから最晩年の『魔法使い』,エッチングの『フラマ・ウェスタス』…。もちろんケルムスコットプレスの美しい挿絵と版面も。図録にたくさん中味が収録されていたのがうれしい。
 個展らしくカリカチュアもあって,ユーモアと共に生真面目な人柄が見えます。巨大なタペストリー『東方三博士の礼拝』は2011年の横須賀美術館で見てるのであのときほどの感動はなかったけど。

 そしてやっぱり最後に目に焼き付けるのは『ランスロットの夢(聖杯堂の前で見る騎士ランスロットの夢)』。冷たそうな天使よりもランスロットの方が断然美しい。
 始めに見た『慈悲深き騎士』の騎士と彼を祝福するキリスト,ランスロットに冷たい告知をする天使,全く違う構図だけど,騎士とキリスト教的なもの(キリストそのもの)という組み合わせに(自分が)注目してるのが面白いなあとあとから思いつきました。

 

 お買い物!図録とおなじみ『もっと知りたいバーン=ジョーンズ』『バーン=ジョーンズ 眠り姫』。それにグッズをファイルや一筆箋にポストカードでやっぱり1万超。

 図録は展示作品とともに関連作がカラーで載っていて読み物としてとてもいいんだけど,ちょっと色が明る過ぎる気がするう。特に一番肝心の『ランスロット』が!ポストカードも同じような色なのでそういう監修なのでしょうか〜。そして一般的な話だけど,図録やポスター,カードには額縁がない!やっぱり額縁を含めて本物を見るっていいなあ。

 バーン=ジョーンズは確かに少女漫画ぽいけど,あんまり耽美と思ったことはないんです。モチーフは確かに美しい,でももうちょっと乾いたカンジで。確かに内田善美,吉野朔実ぽい硬質な端正さに通じてるかも。耽美というと連想するようなほの暗さがないんですよね。図録を読むとモリス,ワッツはアイスランドへ向かったのに対して,イタリア志向だったんですね。それがイギリス絵画,そして素材の選び方にしてはどこか明るさも持っているのかしら。

 『眠り姫』はいばら姫やペルセウスの連作の今回展示されてない画が入ってるのがうれしい。バージョンは違うんだけど。
 今回展示はないけど『もっと知りたい…』『眠り姫』に収録されている『黄金の階段』。これはどこかで本物を見たような覚えがあるんだけど,個々の描き分けが出来ていないといわれるけど,むしろ装飾的であるだけでなく,モチーフの非現実性かつあたかも1人が階段を降りてくるような動きを感じる。あっ階段を降りる花嫁!? 連作で物語絵を描いたバーン=ジョーンズならではの表現がこの特に主題のない絵の中にも込められているのかもしれない。ああバーン=ジョーンズ っていいなあ。

 

 15時頃Café 1894へ。ちょっと待ったけど,中で座ってられるのでよかった。ここはいつも美術館に来た人以外も多そうだなあ。美術展も見ればいいのに!
 今日はコラボメニューの眠り姫のデザートプレートセット。 真ん中は薔薇のアイス。ジュレは綺麗だけど味はちょっとびみょん。ペルセウスの肉はもう一度見にきた時に~。
 そしてこのあと 帝劇のルドルフに観に行ったのでした。

 6/23~8/19【巡回】9/1~10/14 兵庫県立美術館,10/23~12/9 郡山市立美術館

FLOWERSCAPES フラワースケープ−画家たちと旅する花の世界@DIC川村記念美術館

♪また来ちゃったDIC川村記念美術館。企画展「FLOWERSCAPES フラワースケープ−画家たちと旅する花の世界」が7/22までなのです。
 はしゃぎすぎた前回4月に比べると芝生が綺麗な緑になりました。大きな木は合歓の木。

 

 そしてまたまたレストランからです。前菜盛り合わせはフラワースケープ展にちなんでエディブルフラワーが可愛らしい。白いカーネーションみたいのはチーズです!
 海の幸のタリオリーニ,生パスタです。 あ,今回はローアルコールのスパークリングにしました。(ロー過ぎて炭酸ジュースみたいなのでやっぱりワインにすべきだったのかっ)

 

 メインはスズキ,カレンジュラ(キンセンカ)のクリームソース。お魚続きになるけど,お花のメニューが食べたかったのです。デザートはパンナコッタとマンゴームースとシブスト。
 早い時間のランチだからか,あんまりコースで食べる人いないのね。ここはそもそもイタリアンなので,ピッツァも食べてみたいのですけど。でもでも実は前菜が一番美味しいので(こら),サラダだけではきっと物足りないなあ。

 

 おなかいっぱいになったらやっぱり美術館に入らないで,雨が降らないうちに散策から。昼間陽が指すって予報だったけど無理そう。まだほのかに明るいから,暑いよりいいかな。iPhoneだとちょっと明るめに映るみたい。
 右はこないだ菜の花だったあたり。植わってるのはもしかしてヒマワリ? 今日は芝生でピクニックの人はいませんでした。

 

 

 わあ,紫陽花に間に合った~!今日は晴れないだろうけど,紫陽花の咲いてるうちに来たかったのです。
 額紫陽花より普通のまるいのが好き!といいつつ咲き始めの八重の綺麗だなあ。
 ここ本当に広い敷地で,とてもよく手入れされてる様子がうかがえます。

 

 本日のお目当てその2,大賀蓮(オオガハス)。すっごく大きいです。不思議なピンクできれい。

 

 睡蓮の方がまだこれからなのかしら?と残念に思ったのですけど,もしかしてお昼過ぎたから眠ってるのかなあ。
 右は池から見上げて,大きな木は前回美しく咲き誇っていた白木蓮。その向こうに紫陽花が並んでいるのです。季節によっていろんな表情が見れますが,今の時期は紫陽花がないとちょっと寂しかったかなあ。

 本物のお花のあとは美術館でお花~!もちろん常設(コレクション展)も見ます。思ったより展示替えしてなかったです。

 お楽しみの企画展フラワースケープ面白かったっ。もちろん単純に古今東西の花の絵ではなく,といって先鋭的な作品を押し出すのもない。まずモネの睡蓮などの部屋(あんまり直視出来なくてすません。やっぱり無理)の次は,ウォーホルにリキテンスタインと大きな振れ幅のアプローチ。

 次にF氏(Flower?)のコレクションとして花瓶に活けられた花の展示(花の静物画の変遷をたどる)が,普通の画家−作品名ではなくF氏のつぶやきで展示されてるのが面白い。図録には代わりにアンケート企画が。これ美術館関係者と美術出版社で取ってるんですね。まー結果自体はそう深いものでもないですけど。軽〜く部屋に飾るなら…なんて語ること自体が画期的。

 まとまった作品数のあるのは杉浦非水(非水百花譜),グランヴィル,野中ユリ,有元利夫。結構展示替えしてるのですね。図録を見て,あれ?これ見てない?とびっくりしました。

 非水百花譜は3期に分けて展示したみたいで,杉浦非水大好きなので全部見たかったけど,さすがにここにリピートするのは難しいなあ(何度も来たいけどやっぱり遠い〜。電車で乗換は少なくて行けるんですが乗ってる時間が長いのです)。
 非水は「私の眼の記録であって,心の印象そのものではない。…芸術作品として見て戴く積りはない」と語っているけど,非水の繊細さデザイン性にうっとりです。

 あと特によかったのはリキテンスタインの『日本風の橋のある睡蓮』。モネの睡蓮に呼応してるとともに,水面が鏡になっていてこちらの姿が映ってるのがインタラクティブというか本物の水面がそうだし。

 ホセ・マリア・シシリアの蜜蝋を使った大きな作品『衝立・小さな花々II』が鮮やかで印象的でした。逆にブルーにポピー?芥子?の東松照明『ゴールデン・マッシュルーム』は綺麗な発色と思ったらインクジェット・プリントとは。そういえば挿絵やコラージュなどなど手法もいろいろで,こうしてひとつのテーマに絞って年代も技法もバラエティに富んでいて改めて面白い企画ですね。

 順路の矢印マークの中に花があってカワイかった。
 でもここ,もともと館内も花モチーフが多いですね。エントランスのステンドグラス,天井の白いオブジェ(新国ローエングリンみたい)。
 あとこないだは気がつかなかったけど,廊下の突き当たりに窓があって外の緑が絵画のようでした。

 短い間隔で再訪したけど,やっぱりいい美術館です。満足!

大エルミタージュ美術館展@国立新美術館

 

大エルミタージュ美術館展@国立新美術館,6/30(土)に。最近先に図録買ってランチがデフォだなあ。ぶら美お散歩アートブックは持って行きました。ポール・ボキューズ久しぶりです。ランチは今16時LOなのです。待たないですぐ入れちゃった!前はランチがこんなに長くなかったからかすっごく並んでたのに。¥2000のランチセットです。自家製リエットは鳥肉のペーストカレー風味?

 

 メインは白身魚のクネルとガンバス海老のポワレ、にんにくの香りのタリアッテレ添えアメリケーヌソース。グラスワインは¥500。白身魚のクネルがふかふかでうまうまでした。デザートはチョコレートケーキとグリオットチェリーのシャーベット、ガトー・プレジデントのイメージで。って?
  ここ前はもっとボリューミーで、でもどたっとした感じだったけど(こっちが本場の味?)軽めにアレンジしたのかな。いや食べやすくて美味しいですよ!メインはディナーと同じメニューだったからランチだけかもしれないけど。クレームブリュレはきっと同じ!

 展示は混んでたけど,大きめの作品や厳選された89点に見応えある個性が分散してるからあんまりストレスなかったです。ガラスなしが多くてうれしい。タッチやマチエールをダイレクトに感じられるもの。二巡目に中野京子さん特別出演の音声ガイドを借りて。解説作品はわりと渋いセレクトで,自分が特別目を引いたわけではない絵をじっくり見るのもまたいいですね。BGMも凝っててリストシートに掲載してある。

 好きな絵は時代に関係なくティントレット、カンピ、ヴァン・ダイク(自画像)の男の肖像。ファン・オーストのぷりぷり美少年な『ダヴィデ』。もちろんスケドーニ『クピド』,ヴェルネ『死の天使』,中野さん力説の『仮面舞踏会後の決闘』,ヴィンターハルター『マリア・アレクサンドロヴナ』。何となく死の匂いが…。
 特に『死の天使』はヴェルネの亡くなった娘ではというセンチメンタルな側面もあるけど,美しい少女の後ろの死の天使は黒子のようで、その白い羽が少女のものも見える。最後に目に焼き付けて出ました!

 しかし一番好きな19世紀末の象徴主義~アールヌーヴォー,ラファエル前派~アーツ&クラフツ,ユーゲントシュティール…がすっぽり抜けてる!歴史の縦軸からは外れてしまうのかもしれないけど~。
 いやでも世紀で美術史の400年を辿るのは面白かったです。特にエカテリーナ二世セレクトのユベールのヴォルテールやダービーの鍛冶屋とか正に時代。あとレンブラントも良かったなあ。そしてエルミタージュに行きたい!あの空間で見てみたい!

 ミュージアムショップではチェブグッズばっかり買っちゃった。美姫ちゃんにも贈る~(LFJのもまだだけど)。あとは図録とクピドのクリアファイルくらい。最近あんまりポストカード買わないなあ。

 出て来たら,まだ青空に描いたような雲が(18時終了)。

 4/25〜7/16 【巡回】7/28〜9/30 名古屋市美術館,10/10〜12/6 京都市美術館

11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち

『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』,観たのは6/28@テアトル新宿。面白い“映画”でした。ドキュメンタリーではなくあくまで映画ですね。時代の空気を丹念に拾い,何故文学ではなく自死という行動なのか。やっぱりわからない(共感できない)けど”わかる(感じられる)。
 大河清盛で崇徳院が素晴らしかった(まだ出番があるらしい)井浦新さんが三島を演じるというので観に行ったってのが大きいですが,三島には全く似てないのに年齢不詳で不思議な雰囲気。演説の場面が全然聞こえてないんじゃないかというその必死な,正に命を掛けての空気が伝わる。森田必勝役の満島君が美しいです!最後に残った若者達も。しかし何でサウナで作戦会議するんだろ〜,この人達は。でも制服の方がステキでしたよっ。

 三島は作品はせっせと読んでるけど思想はあんまり考えないようにしてたんですけど,うーむ「キリスト教と違って死は罪ではない」そっか(正確には「…死は文化だ。われわれ日本人は,キリスト教文化とは違い,命に罪を求めない。それは命の美しさを知っているからだ。だから,死にも美しさを求める」)。
 先に買ってネタばれ防止のために読んでなかった公式ブックがパンフ代わりでようやく読み終わりました。撮影日記や脚本再録の他に,三島と右翼左翼,政治,社会の年譜と解説が付いていたり読み応えありです。
 やっぱり振れ幅が大きすぎて理解は出来ないけど,論理的に考えればもうちょっと何とかなるんじゃと思っちゃうけど,理論ではなくてもっとウェットな心根に基づくものなのかな。そしてこの映画は思想を同じくして,ではなくそういう心根に部分で演じ,作られているんじゃないかしら。

 映画『憂国』で流れてたトリイゾがヘビロテになってます。ベジャールのMをもう一度観たくなりましたよ。

京都 細見美術館展「琳派・若冲と雅の世界」@ 横浜そごう美術館

マックス・エルンスト―フィギュア×スケープ@横浜美術館のあと,せっかく横浜に来たのでめずらしくハシゴして,京都 細見美術館展「琳派・若冲と雅の世界」@ 横浜そごう美術館も見て来ました。その後火曜日にぶらぶら美術・博物館(ぶら美)で取り上げるんで,見たら絶対行きたくなると思ったから〜。

 源氏物語の断簡は表装が面白いなーと思って見てたら,他の時代もそんな掛軸多かったです。そちらは描表装というのですね。あとキリギリスの絵巻初めて見ました。セリフが絵の中にあるマンガみたいな絵巻とか面白いコレクション。 平家納経(模写)の金具や引手といった装飾が面白い。「コピーは技術の伝承」(ぶら美)とのこと,なるほど〜。ただ見て美しいだけではなくそういう意義があるのですね。

 琳派コーナーはやっぱり大好き鈴木其一。輪郭を意識した潔癖さシャープさがいいの。特に『月に蔦図』の月が朧ろでたらし込みの蔦が映えて美しかった! メインの若冲は実は特別好きってわけでもないけどやっぱり独特で,特に鶏はイイ。今回初期の『雪中雄鶏図』の緻密さと雪の対比,墨絵の観察眼からのデフォルメはすごい。ぶら美で言ってた,それまで評価されなかった若冲人気の広がりが「わかりやすさ」って面白い。ネットでの拡散されたという,確かに本物を見なくてもわかる。本物を見たらもっとだけど。

 この展覧会では若冲の後に金具などあって,全体的に装飾の美が語られてると思いましたよ! デパートの美術館は減って来てるけど,そごう美術館は行った企画どれも大満足なのです。(5/26〜7/16)